ABS事業部 相談室Q&A

こちらではお客様から寄せられたお問合せから
比較的多かった質問と回答をまとめさせていただきました。

質問および回答は、前提、背景を一般化していますので、適切ではない場合も考えられます。
詳細をご必要とする際は弊社へ直接のお問い合わせ下さいますようお願い申し上げます。

弊社製品に関して

Q

どのような商標の製品がありますか?

A
Q

どのようなタイプの製品がありますか?

A

当ホームページの「ABS樹脂製品紹介」のページにて、「品種別 」「性能別」「用途別」に分け、さまざまなタイプの製品をご覧いただけます。これら以外のタイプの製品につきましては、お問い合わせください。

Q

クララスチックの乳化重合製品と連続塊状重合製品の違いは何ですか?

A

弊社のABS樹脂は、乳化重合法と連続塊状重合法の二種類の重合方法があります。弊社は、日本で唯一このふたつの製法を有しています。特に連続塊状重合法(バルク重合法)は、乳化剤、凝固剤を一切使用しない一貫した連続生産のため、製品への不純物の混入がなく発色性、色相安定性、低ガス性、熱安定性に優れています。それぞれの特徴を生かし、性能バランスに優れた多彩な製品をご提供しています。

Q

ABS系アロイ製品はありますか?

A

ABSを中心とするスチレン系樹脂をベースに、先進のアロイ化手法とコンパウンド技法により開発したポリマーアロイ(高性能複合樹脂)製品・テクニエースをご用意いたしております。
PC/ABS系をはじめとして、PA/ABS系、PBT/ABS系などがございます。

Q

連続塊状重合製品はガスが少ないと聞きますが、発生ガス量に関するデータはありますか?

A

成形時における発生ガスに起因して、金型のガスベント部に蓄積するガスヤニ量を、定量的に表したデータがございます。

この結果からも明らかなように、連続塊状重合製品は従来の乳化重合法に比べ発生ガス量が極めて少なく、ピュアーなABS樹脂であることが証明されています。これにより成形品への不具合や、金型のメンテナンスなどの工数が削減できるメリットがあります。

Q

マスターバッチでの着色不良で困っていますが、マスターバッチ着色に向いたグレードはありますか?

A

連続塊状重合製品」がございます。独自で開発した連続塊状重合法により製造されているので、乳化剤、凝固剤を一切使用しない一貫した連続生産のため、製品への不純物の混入がなく発色性(特に淡色系)、色相安定性、熱安定性に優れています。この特徴から、連続塊状重合製品はマスターバッチ着色などに適し、着色加工賃としてのメリットが見込めます。

樹脂の内容に関して

Q

ABS樹脂の組成について教えてください。

A

ABS樹脂は、アクリロニトリル(ACN)、ブタジエン(BDE)、スチレン(STY)の3種類のモノマーを重合させた3元共重合です。その構造は、海島構造を形成しており、AS樹脂(アクリロニトリル-スチレン共重合体)相を海として、ブタジエンゴムの島が点在しています。ABS樹脂の各成分が持つそれぞれの特徴を生かし、優れた特性バランスを有しています。

ABS樹脂の各成分が与える特性

また、更なる特性の向上を目的に、他成分の追添や置換え、他樹脂とのブレンド(ポリマーアロイ化)が可能です。

Q

AES樹脂、ASA樹脂の特徴はなんですか?

A

弊社「ユニブライト」は、耐候性に優れたAES樹脂およびASA樹脂です。AES樹脂は、ABS樹脂のブタジエンゴムを光・熱に強いエチレンプロピレン系ゴムに置き換えた、耐候性、耐衝撃性に優れた樹脂です。ASA樹脂は、ABS樹脂のブタジエンゴムを光・熱に強いアクリル系ゴムに置き換えた、耐候性、耐薬品性に優れた樹脂です。ABS樹脂の持つ、優れた諸性能に加え、耐候性に抜群の性能を発揮することから、無塗装での屋外使用に適しており、塗装コストが削減でき、環境保全にも役立ちます。建材・自動車外装部品をはじめ、各種分野で幅広くご使用いただいており、高いご評価をいただいております。

Q

透明ABSの特徴はなんですか?

A

クララスチック透明グレードは、自社重合技術により完成させた光学特性に優れた透明ABS樹脂です。高い透明性を保持しつつ、バランスのとれた機械的強度、成形収縮や線膨張などの寸法安定性、塗装・印刷・接着など二次加工性等、ABS樹脂の持つ優れた基本性能を再現しています。

Q

SDSをいただきたいのですが。

A

当ホームページの「お問い合わせ」のページからその旨を送信いただくか、本社(大阪)・東京・名古屋のABS事業部にお問い合わせください。

樹脂材料特性に関して

Q

ABS樹脂の耐薬品性について知りたいのですが。

A

ABS樹脂は非晶性樹脂に分類されますので、PP・PE・PA(ナイロン)などの結晶性樹脂に比べ耐薬品性という意味では劣ります。しかし、一概に耐薬品性といいましても、その薬剤の種類によってABS樹脂に対する影響が異なります。薬剤には、樹脂を軟化・溶解させる「良溶媒」と、樹脂にほとんど影響を及ぼさない「非溶媒」があり、これら分類は樹脂と薬剤のSP値(溶解度パラメータ)によって決まります。樹脂のSP値と薬剤のSP値が近しい場合、その薬剤は「良溶媒」となり、明らかに樹脂を侵してしまいますので樹脂との接触を避ける必要があります。

また、「良溶媒」と「非溶媒」との間に位置し、樹脂に吸着されやすい「貧溶媒」という領域があり、応力がかかっている樹脂に「貧溶媒」が接触すると、ストレスクラッキングの発生が懸念されます。

なお、世の中に存在する薬剤の種類は無数であり、ある薬剤に関して樹脂への影響をお調べになる際には、事前に耐薬品性試験を実施していただくほうが好ましいと思われます。

Q

ストレスクラッキングについて教えてください。

A

ストレスクラッキングは、「環境応力破壊」、「ESC(Environment Stress Crack)」とも呼ばれています。ストレスクラック発生には「樹脂材料」に対して「薬剤(環境剤)」、「応力」といったこの二つの影響が存在することが条件であり、「薬剤(環境剤)」のみ、もしくは「応力」のみではストレスクラッキングは発生しません。

この場合の「薬剤(環境剤)」とは、樹脂との接触が考えられるすべての物質であり、代表的なものではグリス、防錆剤、溶剤、他樹脂中に含まれる可塑剤、洗剤などが挙げられます。また、ストレスクラッキングが発生しやすい薬剤の条件としては、樹脂に対して「貧溶媒」領域にあるもので、「良溶媒」と「非溶媒」との間に位置し、比較的に樹脂に吸着されやすい薬剤です。

また、「応力」については、樹脂成形品に残留している成形歪み(残留応力)といった内部応力、また、スクリュネジのタッピングやスナップフィット嵌合時に発生する外部応力があります。

ストレスクラッキング発生の機構は次のように考えられています。

樹脂材料に「応力」が加わり、樹脂材料の分子のつながりに隙間が生じているところに「薬剤(環境剤)」が接触すると、その隙間に薬剤が侵入しやすくなる。

そのとき接触する「薬剤(環境剤)」が「貧溶媒」領域にある場合、「薬剤(環境剤)」は樹脂に浸透する。

「応力」が加わっている「樹脂材料」には、その歪みを緩和しようとする力が働いているため、「薬剤(環境剤)」が侵入した部分にその応力が集中し、分子の絡まりが切断され、クラックが発生する。

なお、ストレスクラッキングの場合、破断面はほとんど白化せず、脆性破断の様相を呈します。また、環境温度が高いなどの条件が加わると、ストレスクラッキングの発生が促進されます。

Q

ABS樹脂の線膨張係数が知りたいのですが。

A

射出成形条件に関しましては、当ホームページの「ABS樹脂製品紹介」のページから、ご使用になる品種の基本物性表をご覧いただきますと、各グレードの「線膨張係数」がご覧いただけます。

一般的には、非強化のABS樹脂の場合、約7~9×10-5 1/℃です。ガラス強化などの場合は、その含有量によって異なりますが、非強化ABS樹脂の値よりも小さくなります。

Q

ABS樹脂の吸水性について教えてください。

A

ABS樹脂には吸水性があり、成形の際は予備乾燥が必要です。乾燥条件については、当ホームページの「ABS樹脂製品紹介」のページから、ご使用になる品種の基本物性表をご覧いただきますと、各グレードの「代表的成形条件」の項に乾燥温度などが記載されておりますので、そちらをご参照願います。また、ABS樹脂の吸水率によって、成形品の不具合(シルバーストリークやボイドなど)につながります。吸水率を少なくとも0.1%以下になるよう予備乾燥を行ってください。好ましくは0.05%以下で管理いただくようお願いします。

なお、弊社クララスチックの標準ABS樹脂の吸水・乾燥曲線は下記のとおりです。

乾燥曲線 吸水曲線
Q

ABS樹脂の酸素指数を教えてください。

A

弊社クララスチックの標準ABS樹脂の場合、酸素指数は19%です。

Q

ABS樹脂の発火温度と引火温度は何度ですか?

A

弊社クララスチックの標準ABS樹脂の場合、発火温度は405℃以上です。
ただし、使用環境条件などにより変動する可能性があります。
引火温度に関し、知見がございません。

Q

ABS樹脂の電気抵抗、絶縁破壊強さはどのくらいでしょうか?

A

弊社クララスチックの標準ABS樹脂の場合、体積固有抵抗は、約1015Ω・cm、絶縁破壊強さは18~20kV/mmです。

Q

ABS樹脂の比誘電率、誘電正接の値はどの程度ですか?

A

弊社クララスチックの標準ABS樹脂の場合、比誘電率は2.8~3.0(@1MHz)、 誘電正接は~1×10-4(@1MHz)です。

Q

ASA樹脂の耐候性試験による色差データはありますか?

A

当ホームページの「ABS事業部」-「ユニブライト」-「耐候性その他」の技術資料ページに弊社「ユニブライト」の耐候性試験による色差データをご覧いただけます。

法規制(自主規制・第3者認証)に関して

<食品安全>

Q

食品容器・包装材としてABS樹脂を使用したいのですが、適合したグレードを教えて下さい。

A

化学研究評価機構 食品接触材料安全センター(JCII)に登録されたグレードが使用できます。

下記のグレードが、当社の代表的な登録グレードです。(自然色のみ)

【クララスチック】
  • GA-101
  • GA-501
  • GA-704
  • MTH-2(耐熱)
  • GT-10(耐熱)
  • UT-61
  • ET-70
【ライタック-A】
  • 100PCF
  • 120PCF

なお、詳しくは本社(大阪)・東京・名古屋のABS事業部にお問い合わせください。

<電気安全>

Q

ULのファイルNoを教えて下さい。

A

弊社樹脂製品のUL-ファイルNo.は、「E54706」となっております。

成形・加工に関して

Q

乾燥条件・成形条件についての情報をください。

A

射出成形条件に関しましては、当ホームページの「ABS樹脂製品紹介」のページから、ご使用になる品種の基本物性表をご覧いただきますと、各グレードの「代表的成形条件」の項に乾燥条件・成形時の温度条件が記載されておりますので、そちらをご参照願います。

Q

ABS樹脂を再生利用する際に注意することは何ですか?

A

成形時に出る端材(スプルー・ランナーなど)を新材とブレンドし、再利用することは産業廃棄物の縮小という意味合いからも一般的となってきています。
弊社ABS樹脂もリサイクルしていただけますが、その際ご注意いただきたいのは、再生材の混入比率が多くなると、材料の衝撃強度や伸び率などが低下する傾向にあることです。
また、異材・異物の混入にも注意が必要です。なお、再生材の混入比率については、再生材の履歴や管理状況によって異なりますので、リサイクルした製品の性能を十分ご確認いただいた上で、適切な範囲でご使用いただくのが好ましいと思われます。
なお、難燃ABSなどは、成形品としてのUL規格の範囲内でのご使用をお願いいたします。

Q

成形時のトラブルで困っています。対処方法を教えてください。

A

こちらに、一般的な成形時のトラブルシューティングをまとめておりますので、ご参考にしてください。なお、成形トラブルの原因は、成形条件・製品形状・金型設計・材料など様々な要因が複雑に関連して発生する場合が多く、単純に一対一の対応では改善されない場合がよくあります。一つの対策にこだわらず、ケースバイケースでの対応が必要になります。

Q

色替え・樹脂替えで困っているのですが。

A

弊社には、プラスチック射出成形機・押出機・インフレーション成形機用の新しいタイプの洗浄剤「タフトレース」があります。優れた洗浄力と自己排出性で成形機を素早く洗浄しますので、色替え・樹脂替えの作業効率が高まります。また、「タフトレース」を用いることで、異物やヤケゴミ発生を防止し、成形品の外観不良を防ぐことができます。是非、お試しください。

なお、当ホームページで、「タフトレース」の無償サンプルをお申込みいただけます。こちらに情報をご記入の上、お申し込みください。

二次加工に関して

Q

ABS樹脂の塗装性について教えてください。

A

ABS樹脂は熱可塑性樹脂の中でも優れた塗装性を示し、車両分野や、家電・雑貨分野で幅広く応用されていますが、塗装不良の不具合はよく見られます。
代表的な塗装不良現象として、「吸い込み」現象がありますが、その要因は、

1)製品形状・成形条件などに関する要因、
2)塗料・塗装条件に関する要因、
3)ABS組成に関する要因

などが挙げられますが、1)、2)に関しては、デザインや装置などの制約もあり、容易に変更・調整できない場合があります。3)については、一般的にはABS樹脂成分であるアクリロニトリル(ACN)成分の比率を高めたり、材料の成形性を改良することにより効果が見られることがありますが、十分とはいえません。

弊社良塗装性グレードは、独自に開発した技術(Sシリーズ)を用いることで、この吸い込み不良に対して改善効果が見られます。
その良好な塗装性から、自動車外装部品などで実績があり、ご好評をいただいております。

Q

ABS樹脂のめっきについて教えてください。

A

世の中に存在する樹脂めっき製品の大部分が、ABS樹脂にめっき加工を施したものといっても過言ではないくらい、樹脂めっきの基材としてABS樹脂が広く用いられております。
その機構は、ABS樹脂の表面に存在するブタジエンゴム成分を酸化溶出し形成させたエッチング孔に金属のめっき膜を析出させ、エッチング孔のアンカー効果により、めっき膜との密着を発現するものです。

たいていのABS樹脂にめっき処理を施すことは可能ですが、高い初期密着強度やサーマルサイクルにも耐えうるめっき製品が必要な場合は、ABS樹脂でもめっき用グレードを使用されることをお勧めします。

Q

ABS樹脂の接着について教えてください。

A

ABS樹脂の接着をお考えの場合、ABS樹脂のSP値(溶解度パラメータ)が近しい接着剤を選定されますと良好な接着性が得られます。
ABS樹脂の接着剤としては、アセトンやMEKなどのケトン類溶剤や、それら溶剤にABS樹脂を溶解させたドープセメント、エポキシ系接着剤、フェノール系接着剤などが適しております。
なお、接着剤によってはストレスクラッキングを発生する可能性もございますので、事前に耐薬品性試験などを実施していただくほうが好ましいと思われます。

海外展開に関して

Q

海外の営業拠点を教えて下さい。

A

弊社海外拠点についてはこちらからご覧ください。

Q

海外で日本エイアンドエルの材料を使いたいのですが。

A

ほとんどのグレードを供給させて頂く事が可能です。
また、海外での現地生産による供給が可能なグレードもございます。
詳しくは本社(大阪)・東京・名古屋のABS事業部にお問い合わせください。

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